14. 絶品ガストロノミーが味わえるバラトン湖周辺のワイナリー
中央ヨーロッパの国々の中でも、特に長いブドウ栽培の歴史を持つハンガリーでは、10万ヘクタールにもおよぶブドウ畑から年間50万キロリットルものワインが、毎年生産されている。
そうしたハンガリーのワインの産地は大きく7つに分類され、1994年に施行されたワイン法により合計で22ヶ所がブドウの産地として指定されている。その代表的な産地の一つがバラトン湖の周辺。そこで今回は、バラトン湖を訪れたら足を延ばしてみたいワイナリーや、バラトンのワインが楽しめるビストロをご紹介することにしよう!
〈ハンガリーのトスカーナ〉で究極のワイン・エクスペリエンス「LISZKAY」
ティハニから湖畔に沿って走る71号線を経由し、車でおよそ30分の場所に〈ハンガリーのトスカーナ〉と呼ばれる小さなワインの里がある。そこに究極の〈ワイン・エクスペリエンス〉を自慢とするワイナリー「LISZKAY」がある。
オランダのホテル学校を卒業後、同氏はマーストリヒトでレストランを数店舗経営していたが、1976年にすべて処分し家族を連れカナダへと移住。ワインの産地として知られるブリティッシュ・コロンビア州に暮らした。また、楽譜が読めない同氏は耳だけでピアノを習得し、ピアニストとして各地を旅したこともあるという、異色の経歴の持ち主でもある。
そんなリツカイ氏が祖国への想いを強くしたのは、ハンガリーが民主化を実現した90年代。この革命を機に自らの経験を祖国のために活かしたいと考え、帰国を決意したそうだ。そして、現在ワイナリーのあるモノスロー(Monoszlo)の土地を購入した。だが、この地で良質なブドウが収穫できると知ったのは、購入した後のことであったと言う。
およそ10ヘクタールの畑では現在、カベルネ・ソーヴィニヨンをはじめ、メルローやピノ・ノワールなどが栽培され、自然や気候、そして土壌を活かした低収量による高品質な〈テロワールワイン〉が造られている。このワイナリーでは、そうしたリツカイ氏が情熱を注ぐ自慢のワインと、洗練された料理とのペアリングが堪能できる。
この日頂いたのは、アペリティフのピノ・ノワールのロゼにはじまり、ピノ・ノワール(赤)、メルロー(赤)、カベルネ・フランのデザートワイン(ビンテージはいずれも2011年)の4種類。それに合わせて〈テリーヌ〉、ジンジャーの効いた〈小エビ入りのブイヨン〉〈カモ胸肉〉〈チョコレートスフレ〉の4皿が用意された。
ワインに使用されているブドウは、いずれも日本にも多く流通している国際品種。口に含んだ時の舌触りも滑らかなので、たまにワインを口にする程度という方にも、とっつき易い味わいだ。中でもフレッシュなアロマと甘みのバランスの良いピノ・ノワールのドライロゼは、完璧なまでの仕上がりである。
ワイナリーでの食事は料理だけでなく、アペリティフからディジェスティフまでを1社の銘柄で愉しんでこそ。「LISZKAY」では、他にカベルネ・ソーヴィニヨンとキュベも造られている。
「飲んだら最後、動けなくなってしまう~」という方は、このワイナリーに宿泊してみるのはいかがだろうか。
部屋はコテージを含め全8タイプ。料金は2名1室の利用で、39,500フォリントから97,500フォリント(朝食・VAT込み/2016年7月現在)。これに別途、1名1泊につき200フォリントの宿泊税が加算される。
建物内には、小さいながらも宿泊客が利用できるサウナや屋内プールも完備されている。また、コンサートなどの文化イベントも開催され(要予約)、10名以上のグループであればワインのテイスティングにも対応している。もちろん、ウェディングのパーティー会場としても利用できる。
思わずため息がこぼれるようなワイナリーで体験する〈ワイン・エクスペリエンス〉は、ハンガリーのカントリーライフの豊かさを実感する、至福のひと時となること間違いなしだ。
リツカイ・ワイナリー |
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