15. 世界遺産「パンノンハルマ大修道院」
最古のハンガリー語で記された古文書を保管する「パンノンハルマ修道院図書館」
歴史的にも非常に価値が高いこの修道院の見どころは尽きないが、中でも見逃せないのは「修道院の付属図書館」であろう。
18~19世紀に製作された地球儀や、ギリシャ神話の一場面が描かれた天井のだまし絵が目に止まる、この図書館の蔵書数は40万冊あまり。宗教書だけでなく、とりわけ薬草に関する書物が充実している。最古のハンガリー語の文献となる「ティハニ修道院の創設」に関する文書も、ここに保管されている。
図書館の奥には2つの像がある。左が初代国王のイシュトヴァーン、そして右がオーストリア皇帝フランツ1世である。この2つの像の間に、ティハニの修道院創設に関する古文書のオリジナルがある。
古文書はラテン語で記されているが、その中に3センテンス、58ワード、33接尾辞のハンガリー語が使われている。それ以前は、共通語であったラテン語のみ使われていたため、ここにあるのが文字で残る最古のハンガリー語とされている。
観光客に人気の修道院プロダクト
修道院の麓には、集落やブドウ畑が広がっている。修道院に残る創建に関する古文書の記述からも、この地域でのワイン作りが修道院の歴史と密接に関わっていたことがわかっており、高品質なパンノンハルマのワインは、あの女帝マリア・テレジアも愛飲したとも伝えられている。
だが1000年もの間、修道僧により守られてきたこの地域のワイン作りも、社会主義体制の下で廃れてしまった。そんなパンノンハルマ修道院のワイナリー復活に貢献した人物が、エゲルの偉大な醸造家ガール・ティボール(Gál Tibor)である。そうして息を吹き返した畑で育てられたブドウはすべて手摘みされ、果実味のある良質なワインとなって市場に出回るようになった。
修道院の敷地内には、植物園やハーブ園もある。修道僧たちが栽培するハーブは人気で、小規模ではあるがハーブガーデン内に工場もある。そこで作られているハーブティーや石鹸などのプロダクトは、観光客にも人気のお土産となっている。修道院ではまた、レストランも営業している。
修道院に「まだ無いものはホテルだけ」とガイド。だが、すでに構想はあり、実現に向け少しずつ動き出しているようだ。これが実現すれば世界遺産の修道院ということもあり、かなりプレミアム感ある滞在が期待できそうだ。
2013年春から個人でも、オーディオガイドでの自由見学が可能になった世界遺産「パンノンハルマ大修道院」。オーディオガイドは日本語にも対応しているので、個人旅行でもぜひ訪れてみたい。なお、修道院内の撮影を希望する場合は、入場の際に別途撮影チケットの購入をお忘れなく!
パンノンハルマ・ベネディクト会修道院 |
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