18. トカイワイン紀行 ≪後編≫
トカイワインにルネッサンスをもたらした村「マード」
かつて、王たちも愛飲したトカイワイン。だが、そうした華々しい時代も2度にわたる世界大戦や、その後の社会主義時代の到来とともに終焉を迎えた。代々受け継がれてきたブドウ畑は国有化され、政府から求められたのは〈質よりも量〉。とりわけ手間のかかるトカイワインは敬遠され、品質の悪化も余儀なくされた。 エルシュー・マーディ・ボルハーズ
そんな中、トカイのワイン造りの伝統と本来の力を取り戻すべく、地区全体で立ち上がり、トカイワインにルネッサンスをもたらした注目の村がある。それが、トカイ地方のちょうど中心に位置する村「マード」である。
その活動の中心を担っているのは、社会主義時代にブドウの収量を制限するためのグリーンハーベストを初めて行い〈ハンガリーワインの生ける伝説〉と呼ばれる第16代当主、セプシ・イシュトバーン率いる1631年創業の家族経営ワイナリー「セプシ」と、18代目にあたるセプシ・イシュトバーンJr. がワインメーカーを務める若手の実力派「セント・タマーシュ」である。
村の火山性岩石の丘陵の斜面に、18世紀に高く格付けされた約25ヘクタールの畑を持つ「セント・タマーシュ」は、マードのテロワールを表現したワイン造りに取り組むため2009年に設立されたワイナリーで、村にある同ワイナリー経営の「マーディ・ウドヴァルハーズ グストー」は、地区最高のレストランとしても名高い。
大きなワイナリーでは、自社所有の畑で収穫したブドウを使い独自の銘柄でワインを製造しているが、「セント・タマーシュ」ではこうした小さな畑の所有者からもブドウを買い集め、〈Mád〉というブランドで市場に送り出している。
村の入口にある「エルシュー・マーディ・ボルハーズ」は、そうしたマードのワインの直売所兼ビストロになっていて、食事と一緒にマード産ワインを楽しんだり、テイスティングや購入もできるので、トカイを訪れた際は是非とも立ち寄ってみて頂きたい。
貴腐ワイン(アスー)に関しては、残念ながらテイスティングの対象外となるため、ボトル単位での買い取りのみとなる。だが、高級品とはいえ、日本では信じられないほど手頃な価格で入手できるのは、非常に魅力的。BIOにこだわった「セプシ」のアスーは、ワイン好きなら自分へのお土産としてせめて1本は、荷物になっても持ち帰りたいところである。
Első Mádi Borház és Bisztró
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