2.ペロポネソス半島の世界遺産

掲載日 : 2016年02月04日

写真 : 筆者撮影

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ヘラ神殿

現代もオリンピック聖火の採火が行われるヘラ神殿(オリンピア古代遺跡)



オリンピックイヤーにこそ訪れたい! オリンピックの故郷「オリンピア古代遺跡」


スタディオン

オリンピック最初の競技が行われた「スタディオン」

2016年は、世界中の人々を熱狂させる4年に1度のオリンピックの開催年。そんなオリンピックイヤーだからこそ訪れたいのが、オリンピック発祥の地であり、その名の由来にもなったペロポネソス半島の西部に位置する古代都市オリンピアである。

一般に古代オリンピックと称される「オリンピア祭典競技」は、オリンピアにあった全能の神ゼウスをはじめとする神々を崇めるための神域(現在のオリンピア古代遺跡)で4年に1度行われた、芸術や体育における当時最大級の競技祭である。考古学的な研究によると、その始まりは紀元前9世紀頃とされている。

聖域には、長さ約191メートル=1スタディオンある約5万人収容の競技場が築かれ、この縦長のコースで行われた「競走」がオリンピック初の競技となった。オリンピア古代遺跡にはその競技が行われ、現代の「スタジアム」という言葉の語源にもなった場所「スタディオン」が残っている。よくスタートラインと間違われるそうだが、石が一列に並んだところがゴールであったという。

このスタディオン入口の手前にある「ヘラ神殿跡」は、オリンピックに欠かすことのできない重要な儀式が行われる場所だ。それは聖火の「採火」。オリンピックの開会式が行われる数ヶ月前になると、この場所で古代オリンピックに則り、巫女に扮した11名がこの神殿の前で凹面鏡を使って太陽の光線を集め採火。そして、聖火となり、リレーによってオリンピックの開催都市まで運ばれていく。
テレビなどで報じられる採火の場面は、実はマスコミ向けの公開リハーサルで、本番は非公開。現地で取材中、「本物の聖火を手にして最初に走るのは、実は日本人である」と聞かされた時は、思わず我が耳を疑った。

オリンピア考古学博物館

赤子のディオニソスをあやすヘルメスの像
(オリンピア考古学博物館所蔵)

1169年もの間続いた古代オリンピックは、西暦393年の第293回を持って終焉を迎えた。そして、この偉大なるスポーツの祭典が「近代オリンピック」として蘇ったのは、それから1500年も後の1896年のことだった。
その栄えある第1回目の開催地となったのが、ご承知の通りオリンピックの故郷であるギリシャの首都アテネである。


隣接する「オリンピア考古学博物館」もお見逃しなく!

このオリンピックゆかりの場所が残るオリンピア古代遺跡に隣接するのが「オリンピア考古学博物館」。ここは神域オリンピアにおける先史時代から初期キリスト教時代にかけての歴史が、膨大な出土品の数々と共に展示紹介されているギリシャ屈指の考古学博物館で、建物の中央、広々としたホールに展示された古代ギリシャの傑作「ゼウス神殿の破風」や「勝利の女神ニケの像」など、保存状態の良い優れた彫刻を収蔵する博物館としてもよく知られている。

とりわけ第8番展示室にある、プラクシテレス作の「赤子のディオニソスをあやすヘルメス像」は必見。古典期芸術の最高傑作と謳われるこの高さ2.10メートルの彫刻は、息を呑むほど美しい。また、第2展示室には男子たちの心をくすぐる鎧兜をはじめ、武器や生活用品、動物を象った銅製の器物が並ぶ。紀元前490年のマラトンの戦いで連合軍を率い、ペルシャ軍を打ち破ったアテネの将軍「ミルティアデスの兜」と、その戦利品である「敵方の兜」も、この部屋に並べて展示されている。

とにかく見どころの多いオリンピアの考古学地区。観光の際にはスケジュールに余裕を持ち、遺跡と考古学博物館の双方を、じっくり見学されることを強くお勧めする。
 


Arty-Grand-Hotelオリンピアのお勧めホテル
アーティ グランド ホテル ☆☆☆☆☆

オリンピア中心部、高台にある5ッ星のブティック・ホテル。清潔感ある客室には、ジャグジーバスやバスローブ、アメニティーがセットされ、小規模ながらもバーやレストラン、屋内外のプールやスパなどの施設も充実している。フロントは24時間対応。エアコン、客室内での無料Wi-Fiあり。正面入口に階段(数段)があるが、横にスロープもある。繁華街までは少し距離があるため、移動の際には車の利用が便利。オリンピア古代遺跡までは、およそ1.9キロ。

Arty Grand Hotel

客室数

全61室(スイートを含む)

住所

Drouva, Ancient Olympia

ウェブサイト

http://artygrandhotel.gr


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