アルプスの瞳、ブレッド湖

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霧につつまれたブレッド島



スイスやオーストリアの反対側にある「ユリアン・アルプス」は、スロヴェニアでは陽の当たるアルプス「サニー・アルプス」と呼ばれているが、そこにスロヴェニア随一の観光名所「ブレッド湖」はある。氷河が溶けて湧き出たこの湖は、「アルプスの瞳」という愛称で人々に親しまれている。

湖の中央にある小島が「ブレッド島」。この島には20人ほどが乗れる「プレトナ」と呼ばれる小さなボートで渡ることができる。湖畔から島まではわずか10分。船頭はマリアテレジアの時代から世襲制で、ムリノ村出身の男性のみ漕ぎ手となることが出来る。透明度を保つため、モーターボートの使用は禁止されているそうだ。


  

島へは「プレトナ」と呼ばれる小船で渡る / 教会へと続く99の階段 / 希望の鐘のある聖マリア教会



船から下りると、目の前に見えるのが思わず見上げてしまう階段。その先に希望の鐘で有名な「聖マリア教会」がある。
この教会が建てられる前、この場所にはスラブ系民族に伝わる愛と繁殖の女神「ジヴァ」の聖地があったと伝えられている。

そうしたロマンチックな言い伝えにあやかってか、この島で結婚式を挙げるカップルも多いそうだ。
その際、新郎は船着き場から続く99の階段を新婦を抱きかかえて運び、その間新婦は沈黙を保つという伝統がある。だから、この島での挙式を決めたら男性は筋トレを、女性はダイエットを始める人が多いそうだ。


 ブレッド湖の伝説


昔々、ブレッド城に夫が殺され深い悲しみを背負ってしまった若い未亡人が住んでいた。彼女は持っていた金銀をすべて集め、夫への思いを託し鐘を鋳造した。ところが、完成した鐘を島へ運ぶ途中で激しい嵐に遭い、鐘は船と供に湖に沈んでしまった。

絶望の底に叩き落とされたその未亡人は、身の回りのもの全てを売り払い、そのお金で島に教会を建て自らはローマの尼僧院に入った。
彼女の死後、その話に感動したローマ法王が、この教会のために新たな鐘を鋳造した。

ブレッド島の聖マリア教会にあるその鐘を、7回鳴らすと幸運が訪れるという言い伝えがあるが、その時に彼女に願い事を伝えると(特に恋愛に関する願い事は)成就するそうだ。
そして、湖に沈んだ鐘は、今も湖底から悲しい音色を響かせているという。


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