スロヴェニア最大の氷河湖、ボーヒン湖

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トリグラウ国立公園にある「ボーヒン・パーク・ホテル」 (C) Bohinj Park Hotel



ブレッド湖から約20キロの場所にあるボーヒン湖は、スロヴェニア最大の氷河湖だ。晴れた日には、ほとんど波立つことのないエメラルドグリーンの湖面に、優美なユリアン・アルプスの姿が映し出される。その昔、ここで休暇を過ごしたアガサ・クリスティは、その透明感ある美しさに「ボーヒン湖は美しすぎて、私の小説の舞台にならない。」と語ったという。

ロマンティックなブレッド湖に対し、神秘の湖と呼ばれるこのボーヒン湖では、湖畔の散策やサイクリング、釣り、カヌー、水泳、マウンテンバイク、ハイキング、冬ならスキーといったアクティビティはもちろん、ロープウェイでユリアンアルプスに上がって眺望を楽しんだり、またボーヒン鉄道でソチャ谷への小旅行など、その楽しみ方は様々あるが、今回は興味深いホテルを一つご紹介することにしよう。

 スロヴェニア初のエコホテル


宿泊客は無料で使えるアクアパーク
(C) Bohinj Park Hotel

トリグラウ国立公園にある「ボーヒン・パーク・ホテル」は、2009年6月にオープンしたボーヒン湖唯一の5ッ星ホテルだ。客室は全102室。快適で静かな環境に溶け込んだ客室は、暖かみのあるシンプル・ナチュラルでまとめられている。

最上階に高級ウェルネス&スパエリアを併設。ここではスパトリートメントの他、開放感溢れるプールやリラクゼーションエリア、テラスバスや、トルコ式とフィンランド式の2つのサウナが完備されている。ホテルは隣接するアクアパークと地下で繋がっていて、宿泊客はアクアパーク内にあるプールやサウナ、そしてフィットネスを無料で利用することができる。

また、館内のレストランも充実。スロヴェニア料理はもちろん、ベジタリアンメニューや低カロリーメニューも用意されている。その他、会議施設やイベントスペース、ヨーロッパのホテルでは珍しいバーカウンターのあるミニボーリング場やミニシアターまで完備されている。このボーリング場は、プライベートなパーティーにも対応。もちろん、ビジネスでの利用にも便利なWIFIも無料で提供されている。

ここでは昼間は外でユリアン・アルプスの大自然を満喫し、夜はホテルのスパでくつろぐ。ボーヒン・パーク・ホテルでは、そんな贅沢な休日も過ごせてしまうのだ。


    

開放感あるフロント / パーティーにも対応のボーリング場 / 小道をイメージしたトリートメントルーム (C) Bohinj Park Hotel



とはいうものの、これだけでは他のラグジュアリーなホテルと大した違いは見られない。今回このホテルをご紹介する理由はまた別にある。それは“スロヴェニア初のエコホテル”であるという点だ。

スロヴェニアが近年、環境対策に積極的で欧州におけるエコ大国となりつつあることは以前にもお話したが、このボーヒン・パーク・ホテルはその象徴ともいえるホテルなのだ。
それではこのホテルでは実際にどんな対策が施されているのか、その一部を例に挙げると・・・

① 施設内の主だった照明にはLEDを導入し、高効率技術を取り入れた省エネを計る
② 環境に優しい冷暖房、および自家発電システムの導入
③ 残った食材は家畜の餌、もしくは燃料にして再活用する
④ ボトル入りのミネラルウォーターは使用せず、水は蛇口からグラスに注いで提供する

といった具合だ。特に3点目の残った食材の再利用は、スロヴェニア政府が企業などに対して積極的に指導を行っている内容でもある。また、同リゾートでは環境保護への理解や意識を高めてもらうため、地元のアーティストによる野生動物保護のための写真展などへの支援活動にも積極的だ。


    

美しいボーヒン湖畔 / 自然光を活用した施設=プレジデンシャルスイートのリビング(中央)とスパエリアのプール(右)



同リゾートでは従業員の84パーセントを地元から雇用し、積極的な人材開発を行っている。これは単なる地域の雇用の促進や活性化だけでなく、遠方からの自動車通勤などで出る二酸化炭素の輩出削減にも繋がる。地下駐車場に併設された電気自動車とハイブリッドカー用の充電ステーションにも驚かされた。

こうした徹底した取り組みが高く評価され、同リゾートは2010年の「スロヴェニア・エネルギー・マネージャー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。
何が彼らをそこまでさせるのか・・・。それはボーヒン湖を訪れてみれば、きっとあなたにも理解できることだろう。


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