編集部便り
ウィーン市が 「UTAU DAIKU in ウィーン」 の主催者に勲章を授与
東日本大震災の復興プロジェクトとして2014年にスタートした「UTAU DAIKU in ウィーン」。その功績が称えられ、同イベントの主催者で世界音楽合唱チャリティー協会の会長である林明男氏が、ウィーン市より「金の功労勲章」を授与。駐日オーストリア大使公邸において2日、フーベルト・ハイッス大使から伝達式が執り行われました。
ウィーン市、音楽を通じた日墺の文化交流に寄与と林氏を評価
「UTAU DAIKU in ウィーン」とは、一般社団法人の「世界音楽合唱チャリティー協会」がオーストリア大使館、在オーストリア日本国大使館、観光庁の協力、さらに Künstlersekretariat Buchmann GmbH の特別協力を得て、東日本大震災復興支援を目的とするプロジェクトです。
当初は、音楽を通じた日本とオーストリアの文化友好を深めることを目指すために企画されましたが、2011年3月11日に東日本の広範囲を襲った東日本大震災が発生し、プロジェクトそのものが頓挫。そして、2014年にチャリティーとして再度立ち上がりました。
今回、ウィーン市より「金の功労勲章」を受章した林明男氏は、再生医療に関する医療技術を研究開発する会社を経営する傍ら、本プロジェクトを主催する「世界音楽合唱チャリティー協会」の会長を務めていらっしゃいます。
このチャリティーに際し、日本から400名を連れウィーンにある世界最高峰の「楽友協会」の黄金の間で、被災地支援のために『第九』を歌うというビックプロジェクトに仲間から反対の声も上がったそうですが、林氏は「勇気を失うものは全てを失う」という信念の下、困難にくじけることなく「UTAU DAIKU in ウィーン」を成功へと導きました。
また、第1回目の「UTAU DAIKU in ウィーン」では、林氏のプライベートマネーで被災地から40名をオーストリアに招いたそうです。
「UTAU DAIKU in ウィーン」は、2015年は日本から160名、現地のオーストリア人から80名の参加でしたが、翌2016年には日本からの参加者が250名へと大幅に膨れ上がり、さらに今年(2017年)は100名のオーストリア人が参加。1500席が完売し、パイプオルガンの隣まで立ち見がでる程までに大きく成長しました。まさに音楽を通じた日本とオーストリアの文化交流の架け橋と言えるでしょう。
2016年には特別枠としてシリアからの難民100名を招待するなど、その交流の輪は世界的な広がりも見られます。
こうした一つ一つの背景が、今回の林氏の受章へとつながりました。
南相馬ジュニアコーラス、2018年からは「UTAU DAIKU in ウィーン」のお手伝いを
今回の勲章授与式に先立ち、林明男夫人で歌手の小林幸子さんから2017年に現地で集められた義援金の目録が、福島県南相馬青少年文化スポーツ育成協議会を代表し、福島県南相馬市で活動する中高生合唱団「南相馬ジュニアコーラス」(以下、MJC)を指揮する金子洋一先生に手渡されました。
金子先生のお話しによると、こうして毎年春に駐日オーストリア大使公邸で手渡される義援金は、未来の子供たちが本当に困った時に使えるように蓄えてあるそうです。また、2018年の3月6日に開催される「第5回 UTAU DAIKU in ウィーン」からは、単なる被災者という立場に留まるのではなく、自分たちもお手伝いをしていきたいとの抱負を語りました。
ウィーン少年合唱団、南相馬の合唱団と歌で交流
今回の伝達式と義援金の贈呈式には、ウィーン少年合唱団とMJCもお祝いに駆けつけ、ウィーン少年合唱団によるオーストリアの第2の国歌『美しく青きドナウ』や、MJCによる地元の中学生が故郷を思って作った『群青』などを披露するミニコンサートが開催され、最後は両合唱団が一緒に『花は咲く』を歌い、ウィーンと南相馬の友好を深めました。
「第5回 UTAU DAIKU in ウィーン」の開催スケジュールは以下の通り。詳細は、本プロジェクトの公式ウェブサイトをご覧ください。なお、JTBコーポレートセールス、クラブツーリズム、ユーラシア旅行社、フェロートラベルなどから、この「UTAU DAIKU in ウィーン」への参加ツアーが催行されています。ご興味のある方は、各社にお問い合わせください。
6月3日公開、ロイ・フラーの半生を描いた映画『ザ・ダンサー』
アメリカの舞踊家ロイ・フラーの半生を描いた映画『ザ・ダンサー』(原題:La Danseuse)のメディア試写会に行って来ました。シルクを纏い花のように舞うソーコ演じるフラーの美しい舞台シーンや、ジョニー・ディップの愛娘でライバルのイサドラ・ダンカンを演じるリリー=ローズ・デップの光る演技は必見。
また、バレエの殿堂「パリ・オペラ座で実現した撮影シーンも注目したいポイントです。
〈シルクと光のダンス〉で新時代を切り開いた伝説のダンサー、ロイ・不ラーの驚愕の実話。この作品は新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamura ル・シネマなどで、6月3日から全国ロードショーです。ぜひ劇場へお出かけください。
ストーリー
女優になることを目指していたロイは、ある時偶然舞台で踊り、初めて喝采を浴びる。ロイの才能を見抜いたドルセー伯爵の力を借り、パリ・オペラ座で踊る夢を叶えるために、ひとりアメリカから海を渡る。ロイのダンスを見たパリの観客は初めての体験に驚き、瞬く間にスターに。そして、遂にパリ・オペラ座から出演オファーが舞い込む。無名だが輝くばかりの才能を放つイサドラを共演者に抜擢し、彼女への羨望と嫉妬に苦しみながらも舞台の準備を進めるロイ。しかし、そんな彼女に思わぬ試練と裏切りが待っていた。
「第5回 JOOP – オリーブオイルコンクール」結果発表
在日イタリア商工会議所は6日、都内のレストランで今年5回目を迎えた「JOOP 国際オリーブオイルコンクール」の最終発表を行った。表彰式には、関係者やメディアを含めおよそ70名が来場。表彰式の後には、オリーブオイルのテイスティングセミナーが行われた他、入賞したオイルを使ったランチが振舞われた。
この世界で「完璧」と呼べる食品があるとするなら、それはオリーブオイル。オリーブの果実を絞って作られるエキストラ・オリーブオイルには豊富なポリフェノールが含まれており、ヘルシーな植物油として日本の一般家庭にもすっかり定着した。
そんなオリーブの発祥地はトルコ南西部と言われ、その起源は7~8000年前にまで遡る。今や世界で流通するオリーブオイルの銘柄は1600を数えるが、オリーブオイルの代表的な産地であるイタリアでよく目にする銘柄はわずか50ほどだという。
「JOOP(Japan Olive Oil Prize)は、そんなエキストラバージンオリーブオイルの日本で最もプロフェッショナルなコンクール。日本でのオリーブオイルの品質向上とさらなる促進、そして生産者と関連企業の振興を深めることを目的に2013年に発足した。
JOOPのコンテストには、世界中の最高品質なエキストラバージンオリーブオイルがエントリー。それらを国際コンテストの審査員として活躍する経験豊富なパネルグループが厳正な審査を行い、最も優秀なエキストラバージンオリーブオイルに賞が授与されている。
2017年はイタリアやギリシャ、トルコ、スペイン、クロアチア、フランス、そしてアメリカなどから152の銘柄がエントリーした。
優勝オイルは、例年「デリケート部門」や「ミディアム部門」「ストロング部門」などの各部門ごとに決定されているが、2016年は世界的な減産のクオリティの悪化に苦しめられたにもかかわらず、レベルの高いオリーブオイルが集まったため、それぞれの部門に「単一品種賞」や「DOP/IGP(原産地名称保護、地理的保護表示)賞」「ブレンド賞」などが一部特設された。
今回のコンテストに関し、JOOPのパネルリーダーであるピエトロ・パオロ・アルカ氏は、「多くの国が気候や害虫の影響で大幅な減産となったが、非常にレベルの高いオイルが集まり、審査は困難を極めた。」と総評の中で述べた。
表彰式に臨席したジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア大使は、「イタリアでは2000年前からオリーブが栽培され、今では地中海ダイエットのベースとなっている。」と挨拶。さらにギリシャやクロアチア、トルコの大使館からも代表者が来場。各国のベスト賞が贈られた。
各国の受賞オリーブオイルは以下の通り。
【ベスト・オブ・イタリー】
オリヴァストロ/アズィエンダ・アグリーコラ・クアットロオッキ・アメリコ
Olivastro – Azienda Agricola Quattrociocchi Americo
【ベスト・オブ・ギリシャ】
ヤンニス・ファミリー / ヤンニス・オリーブ・グローブ
Yanni’s Family – Yanni’s Olive Grove
【ベスト・オブ・クロアチア】
テッラ・ロッサ・ベッリーニ / テッラ・ロッサ・ベッリーニ
Terra Rossa Bellani – Terra Rossa Bellani
【ベスト・オブ・スペイン】
リンコン・デ・ラ・スッベティカ / アルマザラス・デ・ラ・スッベティカSL
Rincon de la Subbetica – Almazaras de la Subbetica SL
【ベスト・オブ・USA】
テハマ・ブレンド / パシフィック・サン
Tehama Blend – Pacific Sun
【ベスト・オブ・フランス】
アテア / サル・ムーラン・オルトレモン
Athea – Sarl Moulin Oltremonti
今回、残念ながら入賞がなかったトルコには「JOOP フレンドシップ賞」が贈られ、トルコ共和国大使館の商務参事官であるメテ オズバラバン氏と、本コンクルールのスポンサーでもある「ターキッシュ エアラインズ」のメフメット・アカイ東京支社長が、賞状を受け取った。
なお、去る4月7日に駐日イタリア大使公邸で 2018年のジャパンクルーズ を発表したイタリアクルーズ会社「MSCクルーズ」も、本コンクールのスポンサーを務めている。
表彰式の後は、日本とイタリアの政府認定オリーブオイルテイスターであり、本コンテストの審査員でもある山田美知代氏によるエキストラバージンオリーブオイル・テイスティングセミナーが行われ、デリケート部門の金賞に輝いた果実味の強い「リフレッスィ」と、口に含むとドライトマトのような香りが広がるストロング部門の金賞「オリヴァストロ」を味わった。
会場にはまた、元セリエAに所属したサッカー選手で、現在「ACミランアカデミーサッカースクール東京」のテクニカルディレクターを務めるマヌエル・ベッレーリ氏の姿もあり、乾杯の席で挨拶。会場は、終始華やかな雰囲気につつまれた。
コンテスト結果 – 受賞オリーブオイル
「第5回 JOOP 国際オリーブオイルコンクール」の全入賞銘柄は以下の通り。気になる1本があったら、店頭でお手にとってみてはいかがだろうか。
「デリケート」部門
【金賞】
リフレッスィ / ソチエタ・アグリーコラ・フォンテ・ディ・フォイアーノ
Riflessi – Societa Agricola Fonte di Foiano
【銀賞】
オリオマニア / シルバー・プライズ:アズィエンダ・アグリーコラ・マリーナ・パルスキ
OlioMania – Azienda Agricola Marina Palusci
【銅賞】
コッレルイタ / アズィエンダ・アグリーコラ・アグラリア・ヴィオラ
Colleruita – Azienda Agricola Agraria Viola
【ブレンドオイル賞】
エモツィオーネ / アズィエンダ・アグリーコラ・デチミ
Emozione – Azienda Agricola Decimi
ラウデミオ / ファットリア・サン・ミケーレ・ア・トッリ・ソチエタ・アグリーコラ社
Laudemio – Fattoria San Michele a Torri Societa Agricola s.r.l.
アルチプレテ / オレイフィーチョ・スターズィ社
Arciprete – Oleificio Stasi s.r.l.
【単一品種賞】
モノヴァリエタ・イントッソ / ソチエタ・アグリーコラ・フォルチェッラ
Monovarieta Intosso – Societa Agricola Forcella
【佳作】
インプリヴィオ / アズィエンダ・アグリーコラ・アグラリア・ヴィオラ
Inprivio – Azienda Agricola Agraria Viola
グリンニャーノ / オリオ・ヴェルゼン
Grignano – Olio Verzen
DOP ウンブリア / フラントイオ・ディ・スペッロ
DOP Umbria – Frantoio di Spello
アッフィオラート / フラントイオ・ガランティーノ社
Affiorato – Frantoio Galantino s.r.l.
「ミディアム」部門
【金賞】
メナージュ・ア・トロワ / マッシモ・モスコーニ・エモツィオーネオリオ
Menage a Trois – Massimo Mosconi Emozioneolio
【銀賞】
ミミ / アズィエンダ・アグリーコラ・ドナート・コンセルヴァ
MIMi – Azienda Agricola Donato Conserva
【銅賞】
オ・ディ・オリオ / アズィエンダ・アグリーコラ・イ・セルジェンティ
O di Olio – BRONZE PRIZE: Azienda Agricola i Sergenti
【DOP賞】
リンコン・デ・ラ・スッベティカ / アルマザラス・デ・ラ・スッベティカSL
Rincon de la Subbetica – Almazaras de la Subbetica SL
【ブレンドオイル賞】
オリオ・ディ・ディエヴォレ
Olio di Dievole – 100% Italiano
【単一品種賞】
アグレスティス・ネッタリブレオ DOP/BIO / アグレスティス・ソチエタ・コーペラティーヴァ・アグリーコラ
Agrestis Nettaribleo DOP/BIO – Agrestis Societa Cooperativa Agricola
【オーガニック賞】
オリオ・エキストラ・ヴェルジネ・ディ・オリーヴァ / ファットリア・サン・ミケーレ・ア・トッリ・ソチエタ・アグリーコラ社
Olio Extra Vergine di Oliva – Fattoria San Michele a Torri Societa Agricola s.r.l.
オロ・デ・ジェナヴェ・セレッスィオン / オリヴァル・デ・セグラ
Oro de Genave Seleccion – Olivar De Segura
【佳作】
チェッロスゲーロ DOPカリーノ / アズィエンダ・アグリーコラ・ラウラ・デ・パッリ
DOP Canino – Azienda Agricola Laura De Parri – Cerrosughero
カーゼ・ディ・ラトミエ / アズィエンダ・アグリーコラ・チェントンツェ
Case di Latomie – Azienda Agricola Centonze
カイエタ・エヴォ / アズィエンダ・アグリーコラ・コズモ・ディ・ルッソ
Caieta Evo – Azienda Agricola Cosmo di Russo
ロリオ・ディ・フェリーチェ・ガリバルディ / アズィエンダ・アグリーコラ・デ・カルロ社
L’Olio di Felice Garibaldi – Azienda Agricola De Carlo s.a.s.
オリオ・デル・カプント / オリヴェーラ・サンタンドレア・ディ・ジガンティ・エンリコ・エデンツォ社
Olio del Capunto – Olivera Sant’Andrea di Giganti Enrico ed Enzo S.n.c.
テッラ・ロッサ・ベッリーニ / テッラ・ロッサ・ベッリーニ
Terra Rossa Bellani – Terra Rossa Bellani
レッチョ・デル・コルノ / オリオ・ヴェルゼン
Leccio del Corno – Olio Verzen
オプス / マッシモ・モスコーニ・エモツィオーネオリオ
Opus – Massimo Mosconi Emozioneolio
モンテ・ロッソ・プレミアム / モンテ・ロッソ d.o.o.
Monte Rosso Premium – Monte Rosso d.o.o.
イル・コロンバイオ / イル・コロンビア
Il Colombaio – Il Colombia
エレクトゥム / アズィエンダ・アグリーコラ・ラ・セルヴォッタ
Electum – Azienda Agricola La Selvotta
アテア / サル・ムーラン・オルトレモン
Athea – Sarl Moulin Oltremonti
「ストロング」部門
【金賞】
オリヴァストロ / ゴールド・プライズ:アズィエンダ・アグリーコラ・クアットロオッキ・アメリコ
Olivastro – Azienda Agricola Quattrociocchi Americo
【銀賞】
コラティーナ / アズィエンダ・アグリーコラ・レ・トレ・コロンネ
Coratina – Azienda Agricola Le Tre Colonne
【銅賞】
モノクルティヴァル・コラティーナ / インティーニ
Monocultivar Coratina – Intini
【DOP賞】
ドン・ジョアッキーノ / サビーノ・レオーネ
Don Gioacchino – Sabino Leone
IGPトスカーノ / フランチ社
IGP Toscano – Franci s.n.c.
サクラ / オリヴァル・デ・セグラ
Saqura – Olivar de Segura
【ブレンドオイル賞】
テハマ・ブレンド / パシフィック・サン
Tehama Blend – Pacific Sun
【単一品種賞】
オリオ・デイ・ディエヴォレ
Olio di Dievole – Coratina
ヴィッラ・マグラ / フランチ社
Villa Magra – Franci s.n.c.
ルオーモ・ディ・フェッロ / アズィエンダ・アグリーコラ・マリーナ・パルスキ
L’Uomo di Ferro – Azienda Agricola Marina Palusci
【オーガニック賞】
ヴァントゥ・ビオ / ヌオヴォ・オレイフィチョ・サンドロ・キス
Vantu Bio – Nuovo Oleificio Sandro Chisu
【佳作】
フラテッリ・マントヴァ・スプライ / コンパーニャ・アリメンターレ・イタリアーナ
Fratelli Mantova Spray – Compagnia Alimentare Italiana
チェンツィーノ / アズィエンダ・アグリーコラ・ヴィンチェンツォ・マルヴッリ
Cenzino – Azienda Agricola Vincenzo Marvulli
グラン・プレージョ・ビオ / アズィエンダ・アグリーコラ・カプート・マリア
Gran Pregio Bio – Azienda Agricola Caputo Maria
ノチェッラーラ・モノクルティヴァル / アズィエンダ・アグリーコラ・マンドラノーヴァ
Nocellara Monocultivar – Azienda Agricola Mandranova
その他の部門
【高ポリフェノール賞】
オ・ディ・オリオ / アズィエンダ・アグリーコラ・イ・セルジェンティ
O di Olio – Azienda Agricola I Sergenti
「JOOP 国際オリーブオイルコンクール」についての詳細は、以下のウェブサイトを参照。
平和を祈るクリスマス聖歌『きよしこの夜』
オーストリアのザルツブルク郊外にあるオーベルンドルフという小さな村で生まれたクリスマス聖歌『きよしこの夜』。この曲が村の小さな礼拝堂で披露されたのは、ナポレオン戦争でヨーロッパが疲弊していた1818年のことです。
今からちょうど200年前の1816年、クリスマスイブに村人たちへ歌をプレゼントしたいと考えたヨーゼフ・モールという若い神父が作詞し、友人でオルガン奏者であったグルーバーが作曲しました。
ですが、伴奏はオルガンではなくギター。それは、この年のイブの少し前に起きた洪水により、教会のオルガンが流されてしまい、ギター伴奏の曲へと書き換えざるを得なくなったからだそうです。
そうして生まれた『きよしこの夜』は、日本では3番までが歌われていますが、実は6番まであります。その4番目には「人類はみな兄弟」という言葉があります。
第一次世界大戦が始まり最初のクリスマスを迎えた1914年、ドイツ軍との戦いでベルギーとフランスの国境戦線にいた英仏軍が、ドイツ側の塹壕から流れてきたこの曲を耳にしたドイツ軍兵士らがクリスマス・キャンドルを灯したことに感銘を受け、英仏軍が停戦命令を出して戦地にわずからながらの「クリスマス休戦」がもたらされたことから、「平和を訴えかけるメッセージ」としても知られています。
国内に数々の問題を抱えつつも、まだまだ平和な日本。でも、多くの人が「歴史の中の出来事」と思っている戦争は、テロの脅威という形にも姿を変え、再び私たちの身近に迫ってきています。皆さまもその旋律に耳を傾けながら、平和を祈りつつ、心穏やかなクリスマスをお過ごしください。
(取材協力:ザルツブルク市観光局/フィンエアー/レイルヨーロッパジャパン)
クリスマス限定!ヘルブルン宮殿庭園にフィアカーが登場
木立の中から現れた馬車。まるでモーツァルトの時代にタイムスリップしたかのようなこの光景は、ザルツブルクの中心部から少し離れた場所にある「ヘルブルン宮殿」での一コマです。実はこれ、クリスマスマーケットの開催に合わせ、2016年から始まった観光用の乗り合い馬車(フィアカー)。現地の人もあまり訪れない宮殿の庭を、約20分かけてゆっくりまわります。
クリスマスマーケット開催期間中の土・日・祝日の限定で、10時から18時まで営業しています。馬車には毛布も用意されていて、希望すれば御者の横の席にも座らせてもらえます。料金は、1人たったの3ユーロ。チケットは、クリスマスマーケットのチケットブースで販売されています。ザルツブルクで過ごすクリスマスの想い出に、ぜひ乗ってみてはいかがでしょうか。
10月28日はチェコの建国記念日「ナショナルデー」
10月28日は、チェコスロヴァキアの「建国記念日」です。後のチェコスロヴァキア初代大統領となったトマーシュ・ガリク・マサリクを筆頭とする代表団の交渉が実り、第一次世界大戦が終結した1918年にその承認を獲得し、新国家が誕生しました。
国際法上では、ヴェルサイユ条約をはじめとする関連協定が締結された1919年半ばに建国とされていますが、チェコ国内では国会が最初に「独立チェコスロヴァキア国家設立に関する法律」を公布した、1918年10月28日を建国記念日とみなしています。
これを祝し、駐日チェコ共和国大使館でも建国記念のレセプションが行われました。入口では、ホストである大使ご夫妻が招待客を出迎えてくださいました。今年は少し規模が拡大され、招待客の数は200名を上回ったそうです。
冒頭でまず、駐日チェコ共和国大使のトマーシュ・ドゥプ閣下がご挨拶。ドゥプ大使が日本でこのナショナルデーを祝うのは3回目のことで、2017年は「チェコ文化年」として、日本国内でも様々なチェコ関連の文化イベントが行われることなどがお話がありました。
この文化事業最大の見どころは、何と言っても国立新美術館で行われる「ミュシャ展」です。アール・ヌーヴォー期を代表するグラフィックデザイナー、アルフォンス・ミュシャ(ムハ)の大作『スラブ叙事詩』が公開されます。
また、今日の祝賀レセプションでは、国際的に活躍をしてきた日本人ヴァイオリニストの黒沼ユリ子さんの素晴らしい演奏も披露されました。
さらに今年は、日本で入手できるチェコの代表的な製品も、館内で展示が行われました。
こちらは、200年以上の伝統を持つチェコの藍染め「ヴィオルカ」。現在は作り手が少なくなっている、稀少な藍染めです。
「ホリーク社」の高級手袋。2015年の「ファッションワールド東京」にも出展されました。
日本初登場のチェコ産オートミールの「ミューズリー」。スイスで生まれた焼かないタイプのグラノーラ風シリアルで、全粒粉のオート麦フレークが使用されています。
チェコ産のかぼちゃの種を100%「コールドプレス製法」で抽出した「パンプキンシードオイル」。オリーブオイルの感覚で、サラダのドレッシングとして、またパスタやピッツァにかけて頂くのが定番です。加熱料理には適していません。
アンチエイジングやダイエットにも効果が期待できる、女性の強い味方です!
こちらはリオ五輪の日本代表、出場した矢澤一輝選手と矢澤亜希選手が使用した、チェコの「ガラスポーツ社」の高性能競技用スラロームカヌー。
最後は「リネット社」の高機能ICUベッド。日本でのシェアはまだ低いですが、チェコの技術力の高さが光る医療用の電動ベッドです。主に病院の集中治療室(ICU)で使われているそうです。
この他にもチェコと言えば、創業150年の歴史を誇る老舗ピアノメーカー「ペトロフ社」などでもお馴染みですね。
これから2017年に向けて、皆さんもチェコと様々な側面でふれあってみて下さい。もちろん、見どころいっぱいのチェコ旅行もよろしくお願いします。
ミラノ市長来日、イタリア大使公邸で「ミラノに捧げる夕べ」が開催
あっという間に「体育の日」が過ぎ、10月も半ばに差しかかり、東京もだんだん秋めいてきましたね。
実りの秋。この季節になると、益々恋しくなってくるのが「秋の味覚」です。
先月、東京ビックサイトで開催された「ツーリズムEXPOジャパン2016」に合わせ、ミラノからジュゼッペ・サーラ市長が来日。
その際に会場内のイタリア・ブースでミラノ市の記者会見が行われ、その内容はすでにこちらの記事でご紹介しましたが、実はその会見が行われた23日の晩に在日イタリア大使公邸で、サーラ市長を迎えた「ミラノに捧げる夕べ」が催されました。
光栄にも当編集部もその席にお招きを頂きましたので、今日はその時の様子を少しご紹介したいと思います。
こちらが在日イタリア大使の公邸のホールです。開宴までの間ここで食前酒が振舞われ、他の招待客の到着を待ちながらスプマンテの入ったフルートグラス片手にしばし歓談。イタリアのパーティーではお馴染みの光景です。
夜なので暗くてよく見えませんが、大きな窓からは立派な池のある美しい日本庭園が望めます。
別の機会にお邪魔した際に撮影させて頂いたものですが、テラスに出るとこんな感じです。なんでも江戸時代に松平隠岐守の中屋敷があった場所だそうで、たいそう立派なお庭です。
公邸の入口の床に用いられているのは、イタリア産の大理石。室内の所どころにオリエンタルなテイストの物が品良く飾られていて、イタリア人の異文化に対する懐の深さや、センスの良さが感じられます。
招待客がほぼ揃って少し落ち着いたところで、ホストであるドメニコ・ジョルジ在日イタリア大使からご挨拶。その日の主役であるジュゼッペ・サーラ市長が紹介されました。
このレセプションへの出席者は、関係者も含めてざっと80名程度でしょうか。ミラノに縁のある方やイタリア系の企業にお勤めの方、半数近くは日本に駐在しているイタリア人の方々でした。
サーラ市長は、この席でも「ミラノが今、ヨーロッパで最もクールな街」であることをアピール。そして、この席にミラノからセレブリティをふたり、ゲストとして迎えていることも明かにされました。
さて、気になるそのふたりとは?
ミラノから来日したふたりのセレブリティ
ミラノは、モードやデザインの発信地として知られる街ですが、「インテル」と「ACミラン」の2つのFCが本拠地を置く「サッカーの街」でもあります。
まず紹介されたひとり目のセレブリティは、元イタリア代表のサッカー選手アレッサンドロ・コスタクルタ氏でした。シブイ!
コスタクルタ氏は、ご存じミラノを本拠地とするFC「ACミラン」の元スター選手。同チームのレジェンドとも呼ばれていますね。
ミランとインテルが毎週交代で試合を行っている「サン・シーロ」の愛称で親しまれているスタジアム「スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ」は、ミラノで一番多くの人が訪れる人気スポット。ここではスタジアムの見学ができる他、サッカーミュージアムも併設されているので、機会があったら是非訪れてみて下さい。
しかし、サーラ市長は「インテル」の熱狂的なファンらしく、それを笑顔で公言。ACミランのOB が横にいても、市長という立場であっても、お世辞や嘘はつけないのですね(笑)
そして、ふたり目のセレブリティは、イタリアのカリスマシェフ、カルロ・クラッコ氏です。ミラノにミシュラン2ッ星のレストラン「Cracco」を構える同氏は、イタリアのテレビ番組でもお馴染みの人物です。
2015年に大成功のうちに幕を閉じたミラノ博のテーマは「食」でしたが、それ以前からミラノは「美食の街」として知られていました。そこで、今回のパーティーの席でアピールされたのが、ミラノを中心とするロンバルディア州の伝統的な味覚です。
ちなみにこの宴席の料理は、来日したカルロ・クラッコ氏が厨房の指揮を執りました。
トリュフが香るロンバルディア伝統の味覚
ここからは、パーティーで供された料理を見ながら、ロンバルディア伝統の味覚についてご紹介していきます。
さて、いよいよディナービュッフェがオープンです。長テーブルのブッフェ台に左右バランス良くアンティパストが並び、なんだかワクワクします。シンプルですっきりした、こういうテーブルセッティングがイタリアらしいですね。とても参考になります。
一緒に供されるワインは、赤白3つずつの計6銘柄。もちろん、すべてロンバルディア産です。
もちろん、チーズもロンバルディア産です。チーズは、どちらかというと食後のイメージが強いかも知れませんが、食前にも食べられます。
今ではイタリア各地で食されている日本でもお馴染みの「マスカルポーネ」は、もとはロンバルディアのチーズでした。青カビの「ゴルゴンゾーラ ピカンテ」もこの州が発祥です。
日本の秋に松茸があるように、イタリアの秋と言えばトリュフですね。秋になるとイタリアには、上質なイタリア産のトリュフを求めて世界各地からグルマンが集まってきます。
中でも白トリュフと言えばイタリア。隣国でも採れる黒トリュフとは、質も香りも格段に違います。
白トリュフの産地は、特にピエモンテ州のアルバが有名ですが、その州都トリノへはミラノから列車で1時間ほどで到着しますので、ミラノから日帰りや小旅行で白トリュフ料理を堪能しに出かけてみてはいかがでしょう。
アンティパストを一皿手にしようとした瞬間、食いしん坊の私の鼻がまるでレーダーのように反応!
間違いありません。そう、一削りごとに部屋いっぱいに広がる白トリュフの香りです!!
その匂いの方向に顔を向けると、そこにあったのは白トリュフが削られたばかりの「ミラノ風アスパラガス」でした。
これは半熟のタマゴの黄身をグリーンアスパラにからめて頂くイタリアの定番料理で、ステーキに目玉焼きをのせて食べるのが好きだったドイツの政治家オットー・フォン・ビスマルクにちなみ、フランスでは「ビスマルク風アスパラガス」とも呼ばれています。
どちらもほぼ同じ料理ですが、ミラノ風とビスマルク風の大きな違いは、パルミジャーノのかけるか、かけないか。ミラノ風には、たっぷりのパルミジャーノ・レッジャーノをかけるのがお約束で、そこに添える目玉焼きはロンバルディア伝統の「ウォーバ・イン・チェレギン」という焼き方をします。
今回はそこに、白トリュフがたっぷり。タマゴと白トリュフの相性は、やはり抜群です!
こちらのパスタのオーブン焼きにも、白トリュフがふんだんに添えられました。
初っ端から立て続けにトリュフ攻撃。さすが美食の国イタリア。その魅せ方まで、ただ者ではありません!
料理は次から次へと運ばれてきます。
こちらはベルガモ名物の「ベルガモ風カソンチェッリ」というパスタです。水餃子のような形をしたラヴィオリの一種で、中に豚肉や牛肉、アマレットや洋梨、スパイスなどが入っています。もとは豚や牛の残りものの肉を使った質素な料理だったそうですが、次第に具材が増えていったのだとか。
同じロンバルディア州のブレーシアという町にも、この「カソンチェッリ」と呼ばれるパスタがありますが、そちらには洋梨やアマレットは入らないそうです。
こちらは「ミラノ風トリッパ」です。このトリッパはイタリア各州にレシピがあり、日本ではフィレンツェ風が有名ですが、ミラノ風にはトマトの他に白インゲンや香味野菜が一緒に煮込んであります。ワインと最高の組み合わせです!
こちらはもうお馴染みですね。サフランで色づけした「ミラノ風リゾット」です。昔はこの上に金粉をかけて食べていた、なんて話もあったりします。こちらはお米に、ほんのりトリュフが香り付けされていたようで、ワンランクアップしたお味でした。
こちらの「コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ」も、すでにお馴染みの料理かと思います。
油で揚げるというよりも、叩いて薄く引き伸ばした仔牛の肉に衣を付け、たっぷりのオリーブオイルでこんがりと焼き上げた「ミラノ風カツレツ」は、サクサクとした食感がたまらない一品です。
最後にドルチェまでたっぷり頂き、お腹はもうはち切れんばかり!
店のショーウインドーでも目にする「マーマレードと森のフルーツのタルト」は、2種類ありました。
ミラノは、ドーム型をしたクリスマスの伝統菓子「パネットーネ」で有名ですが、今回はあいにくパネットーネは出てこず。残念ですが、シーズンではないので仕方ありませんね。
やっぱりイタリア料理は美味しい!またすぐにでもイタリアへ旅立ちたくなりました。ロンバルディアも最高です!
アマトリーチェの復興を願う一品も
今回、大使公邸でご馳走になった料理は、どれもロンバルディア地方の伝統的な料理でしたが、たった一つだけ他州の料理が供されました。それがこの「アマトリチャーナ」です。
ニュースなどでご存じの通り、このアマトリチャーナの故郷である「アマトリーチェ」が今年8月、大地震による甚大な被害を受けました。これはそのアマトリーチェの一日も早い復興を願い、シェフのクラッコ氏が加えた一品です。
今回のお料理は、どれも大皿に盛られてビュッフェ台まで運ばれてきましたが、このアマトリチャーナだけは鍋のまま運ばれてきて、それをカメリエーレ(給仕)が小皿にとりわけて下さいました。
実はこれ、イタリアの家庭そのままのスタイルなのです。日本ではよく、茹でたパスタをフライパンの上でソースに絡めたりしますが、イタリアの家庭ではソースは鍋で用意して、その中に茹でたパスタを入れて和えます。それをマンマが、まるで雛鳥のようにテーブルでごはんを待つ家族のために取り分けていきます。
これを見たイタリアの人たちは、マンマの味や離れてイタリアで暮らす家族を思い、被災地への思いと復興の願いが、一層強まったのではないでしょうか。
私も被災地の一日も早い復興を、強く心の底から祈っています。
「ツーリズムEXPOジャパン2016」の会場で行われたミラノ市記者会見については、こちらをご覧下さい。
東京・丸の内KITTEで「チェコ・フェスティバル」開催中!
東京・丸の内KITTEで、昨日(28日)から「チェコ・フェスティバル 2016」がスタート! ということで当編集部も早速、取材へ行って参りました。
場所は、東京・丸の内にある「KITTE」地下1階の東京シティアイ パフォーマンスゾーン。会場は、初日から大盛況です。
チェコ共和国大使館、チェコセンター、チェコ政府観光局、チェコインベスト、チェコ農業省が主催するこの「チェコ・フェスティバル」では、可愛らしいチェコの雑貨やアニメグッズ、オーガニックコスメ、絵本、チェコ関連書籍など、様々なものが販売されています。
中欧ヨーロッパというとクラッシックなイメージ強いかも知れませんが、あの巨匠アルフォンス・ムハ(ミュシャ)を生み出したチェコは、現代的なアートでも人気がありますよね。
もちろん、チェコ・フェスティバルの会場には、部屋に1枚飾ってみたくなるモダンアートのポスターも販売されています。
こちらはチェコの藍染「ヴィオルカ」。このヴィオルカとは、チェコ語で「すみれ」という意味です。
最近、飽きの来ない藍染めパターンや風合いが見直され、ちょっとしたブームになっているようです。日本も今、和モダンが人気だったりするので、お気に入りのアイテムを探してみてはいかがでしょうか?
チェコと言って忘れてはならないのが、やっぱりビールですね。最近はモラビア地方のワインも人気で、会場にはそうしたチェコのワインやビールも販売されています。もちろん、その場でグラス売りもあるので、気軽に楽しめます。
場内を歩いていたら、店頭ではあまり見かけない、ちょっと珍しいチェコビールを見つけました。
その名も「QUEEN」! あの伝説のロックバンド「QUEEN」のボーカルだった、フレディー・マーキュリーが愛したチェコのピルスナーです。
「QUEEN」のファンの方なら、もう一目でお分かりになりますよね? このラベルは、フレディー・マーキュリーが自らデザインしたものです。
このビールを買うと、ラベルと同じオリジナルのコースターももらえますので、ファンの方は特にチェックしておきましょう!
冷えたボトルもあるので、ビールはその場でも味えますが、自宅に持ち帰って「QUEEN」の音楽を聴きながら、ゆっくり味わうのも良いしょう。
私は2本購入。1本はその場で飲み、もう1本は自宅で楽しむように持ち帰りました。
ちょうどこのピルスナーを飲んでいる時、場内のステージでミニコンサートが始まりました。ということで、フレディー・マーキュリーの歌声ではなく、ドボルザークを聴きながらチェコビールです!
演奏で使用されるピアノはもちろん、「ペトロフ」のピアノです。 同社の調律師さんが、ピアノのコンディションをバッチリと整えてくれています。
このステージでは、チェコ音楽のミニコンサートだけでなく、モラヴィア民謡、フォークダンスなどもあるそうです。かなり頻繁に行わていますので、合わせてチェックしておくことをオススメします。
場内には、チェコ政府観光局もブースを出し、観光資料の配布や情報提供を行っています。その横には、クラブツーリズムとユーラシア旅行社のブースもあるので、この冬出発のチェコのクリスマスツアーなどのブッキングもできてしまいます。
とにかく、チェコの魅力や文化が味わえるプログラムが満載となっていますので、お近くの方はお昼休みや仕事帰りに、少し離れている方はこの週末にでもぜひお出かけ下さい。会期は10月1日の夜7時までとなっています。
世界最大級 旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン」が開幕
世界最大級 旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン」が、9月22日に開幕しました。24日(土)と25日(日)は、一般の方も入場できますので、情報収集にお出かけになってみて下さい。
イベントなどの最新情報は、以下の「ツーリズムEXPOジャパン」の公式ウェブサイトから入手頂けます。
次の休暇は「イタリアの最も美しい村」へ!
2016年に、日本との国交樹立から150周年を迎えたイタリア。去る9月5日、「イタリアの最も美しい村」クラブ(I Borghi più belli d’Italia)の関係者が来日し、在日イタリア大使館でプレゼンテーションを行いました。
「イタリアの最も美しい村」クラブは、イタリアの小都市に残る偉大な遺産や歴史、そして芸術と文化を再認識し、その素晴らしさを国内外に向けてアピールすべく、イタリア自治体協会(ANCI)のイニシアチブで設立された団体で、現在は同クラブの厳しい基準をクリアした、260を超える町や村がメンバーになっています。
会ではドメニコ・ジョルジ在日イタリア大使が、出席者に向けて冒頭の挨拶。さらに来日したイタリア文化財・文化活動・観光副大臣のドリーナ・ビアンキ下院議員からは、ローマやミラノ、フィレンツェ、ヴェネツィアといったお馴染みの人気都市に留まらず、さらに一歩奥のイタリア文化に触れて欲しいとの、日本マーケットに対する期待感も寄せられました。
このプレゼンテーションには、50名ほどの日本の旅行業界関係者とメディア関係者が集まり、その数からも注目度の高さが伺えます。
「イタリアの最も美しい村」の紹介は、同クラブの会長であるフィオレッロ・プリーミ氏が自ら行いました。
プレゼンテーションではまず、同クラブのミッションが、
- イタリアの小都市に残る偉大な遺産、歴史、芸術、文化、伝統を認識し振興する
- 文化・環境遺産を尊重し、地域に必要な経済発展と結びつける
- 国内外でのクラブの認知度アップに向けたプロモーション活動
- 観光振興の新たなチャンスを創成に向けた、国際的なツーリズム・プロモーションイベントや企画に参加
2016年8月現在、クラブに登録された村の数は262。その内訳は、トレンティーノ(8)、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア(9)、ロンバルディア(21)、ヴェネト(6)、ピエモンテ(10)、ヴァル ディ アオスタ(1)、リグリア(21)、エミリア ロマーニャ(13)、トスカーナ(18)、ウンブリア(23)、ラツィオ(13)、マルケ(22)、アブルッツォ(21)、モリーゼ(4)、カンパーニャ(8)、バジリカータ(6)、プーリア(10)、カラブリア(10)、シチリア(17)、サルデーニャ(4)となっています。
※ 州の順番は、プレゼンテーション資料に基づきます。
実は、2016年8月に地震により甚大な被害を受けたアマトリーチェも、同クラブに所属する村であることから、日本へ協力に対する謝意と合わせ、クラブとしても復興に向け全力で取り組むことが、この場で表明されました。
「イタリアの最も美しい村」クラブのクオリティー憲章「カルタ ディ クアリタ」には、同クラブの商標を使用するための条件や、参加資格が明確に定義されているとのお話がありました。
参加する村々の卓越した観光ルートは、この「カルタ ディ クアリタ」に基づいて作られます。中でも「おもてなし」「保存」「発展」といった活動は、常にチェックされる重要項目となっています。
さらに「イタリアの最も美しい村」クラブでは、名誉登録された2村を含む262の村を紹介した公式ガイドブック(全832ページ、画像2,000枚使用)を発行し、その中で20枚の地図とともに、600の「郷土料理」や1,400の「イベント」、430の「ミュージアムおよびギャラリー」、そしてホテル、レストラン、職人、特産品など 6,100 もの生産活動を紹介しています。
現地では、この「カルタ ディ クアリタ」に基づいて、「イタリアの最も美しい村」専門のツアーオペレーターである「ボルギ・イタリア・ツアーネットワーク」(Borghi Italy Tour Network)が手配を行います。一緒に来日した同社代表のロザマリア・ムスコ氏からは、トスカーナを例にした「イタリアの最も美しい村」を巡る周遊型のモデルコースが紹介されました。
こちらは旅行会社向けの内容ですので、この場では詳しくお話ができず残念ですが、イタリアのライフスタイルも体験できる非常に興味深い内容ということもあり、特にリピーター向け。村と周辺の大きな都市の観光も、バランス良く楽しめます。
村にある宿泊施設の規模を考えると個人旅行、もしくは小グループが中心になるかと思いますが、グループの形態や希望に応じて、様々なアレンジが可能なようです。
今後は各旅行会社から、これに関連した面白いパッケージツアーが販売されてくる事かと思いますので、消費者の方はそちらを楽しみに待ちましょう!もしくはご自身で窓口へ行って、旅のアレンジをご相談されてみるのも一案です。
プレゼンテーションの最後には、講談社から『イタリアの最も美しい村 全踏破の旅』を出版した写真家の吉村和敏氏から、書籍と取材エピソードの紹介がありました。同氏は、234の「イタリアの最も美しい村」公認の村を5年かけて踏破し、本書を出版。日本ではまだまだ知られていない素晴らしい村が満載ですので、よりディープなイタリア旅行を考えていらっしゃる方は必読です!
なお、今回のプレゼンテーションには、「日本で最も美しい村」連合の会長である浜田哲氏も参加。日伊友好の絆をより強くする機会ともなりました。この「日本で最も美しい村」連合と「イタリアの最も美しい村」クラブは、フランスやベルギーのワロン地方とともに、2010年に発足した「世界で最も美しい村」連合会のメンバーとなっています。2012年にはカナダのケベックも加わっています。
各国の美しい小さな村々が今後益々、旅のデスティーネーションとして注目を浴びそうですね。でも、まずはイタリアにある262の美しい村々の制覇を目指しましょう!