地底に広がる神秘の世界、ポストイナ鍾乳洞

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ポストイナ鍾乳洞入口



国土の半分近くが石灰岩でできたカルスト台地で覆われているスロヴェニアには、大小取り混ぜ1万以上の洞窟があり、スロヴェニアは世界で初めて洞窟観光を始めた国と言われている。
その中でも特に有名なのが、スロヴェニア南西部の地底に広がるポストイナ鍾乳洞だ。欧州最大の鍾乳洞で、世界でも第3位の規模を誇る。

スカイスクレーパー

ビフカ川の流れが10万年かけて石灰岩を侵食し形成されたこの鍾乳洞に初めて人が踏み込んだのは、洞内に残された探検家のものと思われる日付入りの署名から13世紀初頭と見られるが、より奥まった部分は1818年にルカ・チェーチによって発見された。現在、観光用に公開されているのは全体の5分の1ほどで、残りの非公開部分は研究者たちのフィールドワークになっている。

全長約21キロのこのポストイナ鍾乳洞は、最初の3.2キロをトロッコで移動をするが、こうした洞窟鉄道や洞内の照明は19世紀にはすでに整備されていた。その頃から洞内でイベントなどが開催されるようになり、ユニークな社交場と化したこの鍾乳洞にドレスアップした上流階級の人々が訪れていた。その中にはハプスブルク家の人間の姿も見られたという。
現在では、世界各地から年間34万人が訪れる世界屈指の観光洞窟として知られるようになった。だが、そのトロッコのせいで世界遺産への登録ができないのだというから、何とも皮肉な話である。

洞内は単独での見学が許可されていないため、ガイドツアーに参加する。ツアーは、スロヴェニア語、英語、ドイツ語、イタリア語で催行されている。グループによって若干の差がでるようだが、ツアーの所用時間は約1時間半。内部の温度も年間を通じ8~10℃と肌寒いので、上着を着用したり、トイレなども事前に済ませておくと良いだろう。

  

洞内はガイドについて整備された見学コースを歩く



さて、トロッコに乗りアドヴェンチャー映画の主人公になった気分で風を切り、次々に迫り来る岩間をくぐり抜けたら、いよいよ徒歩での洞内見学だ。ツアーは高さ32メートル、幅40メートルの「スカイスクレーパー」と呼ばれる巨大空間からスタート。
すっかり探検隊気分で、期待に胸が高鳴る。

最初の坂を登り切ると、目前に壮大な大鍾乳石群が広がる。まるで地球の鼓動が聞こえてくるようだ。その神秘的な美しさに思わず息を呑む。

洞内には無数の鍾乳石があるが、中でも圧巻なのが高さ7メートルの「ザ・ジャイアント」。この鍾乳洞のシンボルともいえる鍾乳石で、成長速度は100年でわずか1センチ。果てしない時を費やした、まさに自然の芸術だ。また、美しい縞模を描いた幕状鍾乳石も見逃せない。


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